写友4人で長野の御柱祭りを撮影に行くことになりました。長野県は各地で時期をずらして御柱祭りが行われますがかの有名な諏訪ではなく、地元中心でよそからの観光客も居なく写真も撮りやすいと言うことで贄川の御柱祭りを撮りに出かけました。
JR中央本線の贄川駅に着いたのは午前11時頃でした。駅は人も居なく閑散としています。地元の人に祭りの事を聞くと贄川は来週で今週は隣町木曽平沢でやっているとの事、前もって情報収集で観光協会に紹介していたが情報が少し混乱していたようで結果的には隣町に行くことになりました。
地元の人に隣町、木曽平沢に行くのに電車は大分待つし、もうじきバスが来るのでバスの方が早いと教えてもらい、バスで木曽平沢に来ました。時間はもう昼近くなっていて祭りの人達は川側の大きな公園でおにぎりなどを食べながら昼休みをしていました。そんな光景を撮りながら中央に行くとおにぎりや飲み物などを用意した町の人達の祭りの本部があって私たちにもどうぞどうぞと言うことでおにぎりやビールにおつまみと来たばかりで祭りの人達と一緒に昼休みになりました。
昼休みが終わると御柱を大勢の人達で引きながら町を練り歩きます。此処、木曽平沢は昔ながらの漆器店の町で本通りの店は全部漆器店でした。こんなに同じ店が並んでいて大丈夫なのかと思う位です。此処を拠点に全国的に商売をしているので大丈夫なのかと思います。私は御柱中心の写真でなく、先々祭りの前を歩いて木曽地の祭り的雰囲気を探しながら歩いていました。店の前で祭りの支度をしていた家族に写真を撮ってくれと言われて孫とおばあちゃんの写真を撮りました。こちらとしては願ったりかなったりです。家族的な微笑ましい記念写真が撮れたので「送りましょうか?」と言いい、結果的にはメールで写真を送ることになり、喜ばれると共に便利な時代を痛感しました。
祭りは御柱を引きながら町の中を歩きますが少し引いては御柱の上で祭りの唄を歌います。祭りの人達はそれも楽しみで本当に休み休み、ゆっくりと進むので御柱を引く若者達は「又、歌いたいんだって!これじゃ進まないよ」などと笑いながら言って立ち止まっていました。町の中にもお菓子や飲み物の配るところがあり、我々にも進めてくれます。写真を撮りながらビールも飲んですっかり祭りの雰囲気に染まってきました。
今日は天気も良く、祭りには好都合です。子供達も大勢居ますが多くは東京やよその町で住んでいる子供達が祭りに会わせて孫を連れて来ているようです。先ほど写真を撮った子供達も吉祥寺に住んでいると言っていました。町に残っている長老達も今日は7年ぶりの祭りの日、元気に張り切っていて得意顔でした。
御柱は町を外れて山の中腹にある神社まで最後の踏ん張りです。急な坂道を必死になって登ってきます。神社の前まで引いてきて今日の祭りは終わりました。午前中に引いてきた御柱と午後の御柱が2本並んで又、明日運んでくる御柱が揃ってから午後に御柱を立てて御柱祭りも終わりになるようです。時間は午後3時半頃で我々は次の駅、奈良井宿へ行く事にしました。
贄川や木曽平沢には宿屋がなく隣町の奈良井宿に宿泊の予約を取っていて、隣駅の奈良井宿に着いたのは午後4時半頃でした。町はあまり人出もなく、静かです。日曜なのに観光客も少なく寂しい感じさえしました。宿屋で夜ご飯を済ませて夜の宿場町の撮影をと思い出かけても灯りがついているお店や宿屋も見あたらずにすぐに引き返してきました。奈良井は3度目ですが初めに来たときは少し夜の風情も撮れたのに今は閑散としているようで時の流れを感じさせられます。
次の日は朝の宿場町をと朝5時半頃から表に出て奈良井宿を一回りしました。奈良井宿は横浜ではめっきり少なくなったつばめが昔通りに沢山、町を飛び回ったり、朝日の当たり始めた窓などに並んでさえずっています。少し朝日の当たり始めた宿場町は写真的にも魅力があって気持ちのいい撮影が出来ました。
宿で朝食を取り、木曽平川の御柱を落とす川合いに朝の8時過ぎに着くともう大勢の人達が集まり、丁度良い時間のようです。橋の上で少し待っていると林の中で御柱を止めていた綱が切られて一本の御柱が土手を滑り落ちてきました。諏訪の御柱と違い、太さも細くて人が柱に乗ったりしません。又、御柱を滑り落とすのはこの一本だけで午後の一本と昨日の二本はこの近くの広場に置いてあった物を神社に引っ張って行きます。
途中で止まった御柱を若者達がロープで川の中の中まで引っ張り、川の中を近くの広場まで流して広場まで又、引っ張り上げています。さあ、これからが本番で町の中を歌いながら御柱を引っ張って歩きます。
町の中ではお年寄り達が御柱のやって来るのを待ちわびて椅子などに座って待っています。御柱祭りには付き物のような金色の紙簾の付いた棒を持って祭りを盛り上げていました。祭りの日には遠くに住んでいて祭りに会わせて帰ってきた子供や孫達と町中で祭りを楽しんでいます。
お年寄りから子供まで7年に一回の御柱祭りを楽しみにしているらしく笑顔がそれを物語っています。90何歳になると言うこの老人も赤いちゃんちゃんこを着て子供や孫に囲まれて祭りの記念写真を撮っていました。終始、笑顔で祭りに付いて回り、最後の神社まで急な坂道も何とか登り切り本当に祭りを楽しんでいる様子でした。
昼には又、川の側の広場でおにぎりや飲み物をご馳走になり、午後からも残り一本の御柱を神社まで引っ張って行き、四本の御柱が揃いました。神主さんや町の役員さん達が御柱に斧入れなどの神儀を行い、これから御柱を立てる行事が行われます。今年からと言う話しで前の御柱で作った木札のお守りを見せて貰いました。御柱で作った木彫りのお守りです。お祓いもしてあるのでご利益のあるお守りになりそうでした。
御柱はクレーンで吊されて掘ってあった穴に立て、回りを杭や石でがっちりと固められます。時間的に午後3時も過ぎているので我々は一本の御柱が立てられるのを見届けて帰ることにしました。今日も昨日も町の人達に「どっから来たの?」「横浜」と言うと「遠いところからわざわざ」と言ってもてなしてくれます。確かに町に関係のない、よそ者は我々だけのようでした。昼食は頂く、お酒は頂くですっかりお世話になって写真は撮り放題、暖かい人の心にも触れて我々も本当に楽しい御柱祭り撮影でした。
木曽平沢のみなさん、有り難うございました。