一昨年は新潟から男鹿半島まで、昨年は能登半島の漁港を中心に車中泊で1週間位の撮影旅行に行きました。一昨年の撮影でも燃料が高くなっていて赤字になるので漁に出ない船が多く、イメージしていた朝の漁港風景は望めませんでした。去年の能登半島の撮影でも同じような事で特に今年は更なる燃料の高騰でもはや漁業の危機的状態になっています。そんな事もあって今年からは祭りなどを中心の撮影旅行に変えることにして、始めての水郷、潮来のあやめ祭りを撮影に行くことにしました。昨年は撮影中心を前提でかみさんも同行して、今年も同行する事になりました。
4日が千葉県九十九里浜、5日が茨城県霞ヶ浦、6日〜8日は潮来のあやめ祭りの撮影予定です。午前9時頃に家を出て首都高速、湾岸通路から千葉東金街道の東金インターで降りて九十九里浜海岸に出たのは午後1時近くでした。朝は曇っていた空もいい天気になり、昨日海岸沖を通過した台風の余波で海は大きな波と強い風が吹いています。海岸にはまばらに人がいて、中にはあさり取りでもしているのかなと思われる人も居て近づいて見るとなにやら海岸の砂を採取していました。話しを聞くと大学の学生で砂の研究をしていて採取した砂から歴史をたどれると言うことでした。広い九十九里海岸の波は白波でなく砂色の濁った大きな波が繰り返し押し寄せています。
九十九里浜の海岸や周辺の農家などを撮影して今日は海岸近くの道の駅「オライはすぬま」で宿泊しようと思っていましたが食堂もあまり無く、結局昼食は道の駅「オライはすぬま」で食べることになりました。近くに食堂が少ないせいか道の駅は人が集まり賑やかな位です。この辺では撮すところも思ったより無いので宿泊先は潮来にして先に進むことにしました。途中、片身漁港やその周辺の花畑、飯岡漁港などを撮りながら銚子市の外川漁港に来ています。小さい漁港は防波堤に守られ静かに漁船が停泊していますが外海は荒れていて外の防波堤には大きな波が襲いかかっていました。
銚子市内を通って突端、犬吠埼灯台に着きました。まだ夕方の斜光は明るかった物の時間は午後5時40分頃でした。土産物の店は閉まり、観光客?も一人しか居ませんでした。灯台の入り口は閉まっていて今日は休みなのかなとも思いましたがよく見ると4時で終わりのようです。この後、途中で食事をして潮来へ向かい道の駅「潮来」に着いたのは午後7時半頃でした。大きな道の駅で駐車場も広々としていました。
去年、一昨年は漁港巡りだったので朝5時前から動き出していましたが今回は朝の予定はありません。道の駅でゆっくり起きて朝9時頃、霞ヶ浦巡りに出かけました。右の方に霞ヶ浦が見えてきて入り江の川では船の間から二人ほど釣りをしているのが見えました。車を降りて早速撮影しようと歩いていると二人は川辺から離れ始めました。残念、もう釣りを終えて帰るための準備を始めています。仕方が無く少し先に行くとこの辺の湿地帯は野鳥の生息地にもなっていてバードウオッチング用の建物もありました。
なるべく霞ヶ浦沿いを走りたいため農道やくぼみが多く水がたまっている細い悪路をゆっくりと被写体を探しながら進みます。しかし何の変哲もなく、なかなかこれはと言う場面や景色は見あたりません。ちょっと突端が突き出た絵になるような場所や網を仕掛けてある梁などを撮りながら進んでいます。途中、コンクリート用に霞ヶ浦の砂を採掘している現場などがあって取りあえず写真を撮ったりして進みました。
霞ヶ浦周辺には田圃も多く、ちらほら白鷺が餌を捕っています。写真を撮ろうとある程度近づくと撮影前にすーと飛んでちょっと先に止まるので又近づくと同じように間合いを取って離れます。白鷺はあきらめて走っていると珍しく農作業をしている人達に出会いました。蓮の収穫のようです。ゴムのつなぎを来て胸元まで水に浸かりながら男の人は泥の付いた蓮に水を吹き付けながら洗っていて女の人達はその洗った蓮を籠に入れていました。俄然写欲が沸いてきて、あまりアクションのない作業ながら何枚も撮影しています。蓮を洗うときに噴射する水を意識しながら何とか動きのある写真をと心がけながら撮った一枚にそれなりの写真が撮れたと思う満足感がありました。
今日は霞ヶ浦周辺を撮影して霞ヶ浦大橋を渡ったところに道の駅「たまつくり」があり、そこに泊まるつもりでした。今まで霞ヶ浦を回ってきてもあまり写真的な所がないのと天気予報が変わってきています。予報では明日が雨模様だったので雨のあやめ撮影を考えていたが天気は晴れるらしい、それに今日は下り坂で午後には雨の予報、雨のあやめが撮れないのでは意味がないと思い、急きょ潮来に戻ることにしました。潮来に入って昼食をとり、午後2時頃「前川あやめ園」に入りました。明日、金曜日にあやめの撮影を予定していたのは土曜日曜とイベントがあり、天気も晴れの予報なので人の少ない雨の金曜日にじっくりと撮りたいと思っていました。あやめ園は雨もまだ降っていなく人もあまり多くなく、あやめは4分咲き程度でした。3時を過ぎると予報通り雨も降ってきて時にはどしゃぶりになるほどでした。途中からは観光客もいなくなり雨の中、一人で思う存分あやめを撮ることができました。それにしてもあやめの形は思ったより良くなく、いい形のあやめを探して雨を表現しながらと考えると難しい物があります。アップだと水滴が見えて雨に濡れている感じは出るのだが写真的に面白くないし、全体的になると花に付いている水滴が出てきません。いろいろ撮ったものの水滴は葉に付いた水滴で雨を表現するしかないと思いました。夢中で撮った割には表現の方法が少なく、撮影の難しさと未熟さを思い知らされた時でもありました。
「前川あやめ園」から歩いて10分程離れたところに潮来市のあやめ祭り用の大きな駐車場があります。インターネットなどでは有料で500円となっていましたが実際は無料でした。駐車場に6時過ぎに戻ってきて今日はこれから簡保の宿「潮来」に行って風呂に入る予定です。簡保の宿は車で20分位走った所にあり、入浴だけは600円です。7時近く簡保の宿に着き、ゆっくりと風呂に入り出てくると風呂だけの利用者も多く、私たちと同じく車で旅行中の家族や夫婦なども多く見られました。市の駐車場と簡保の宿の中間に道の駅「潮来」があり、今日も宿泊は道の駅です。昨日もそうでしたが今日も車中泊の利用者が多く見られ、立派なトイレがあり長距離運送の運転者はもちろんのこと安心して泊まれる道の駅は本当に便利です。
簡保の宿「潮来」
今日も朝ゆっくりして9時過ぎに潮来市の駐車場に着き、あやめ園には10時頃に行きました。あやめは4分咲き程度なので鑑賞には早すぎるくらいです。しかしながら花の撮影となると満開になってしまうと見た目には豪華でも背景が花でごちゃごちゃしてしまって主役の花をすっきり撮れません。写真撮影には今頃がちょうどいいのではないかと思います。
あやめの撮影は雨のあやめを昨日撮っているのであまり興味が無く、今日はあやめ祭り期間中限定の櫨こぎ船の撮影です。船頭さんは絣の着物を着た若い女性や半纏姿の男たちです。船着き場に近い橋の上からすっきりと狙ったり、川上の方まで足を延ばして背景のいい場所やシャッターチャンスを狙って粘りの撮影、これもなかなか思うようにはなりません。傘を付けた観光客ばかりではないし何艘も通る船も船頭、観光客、表情などがどんぴしゃりなどと言うことはほとんどないからです。
朝の内は曇っていた天気も予報通り晴れてきて今日は暑いぐらいになりました。近くの幼稚園の子供なのか先生に引率されてあやめ見物に来ています。行儀良く並びながらあやめ鑑賞、楽しい雰囲気のスナップが撮れそうと思い少し写真を撮り始めたら園の中程にある屋根付きの休憩場所で休憩タイムになってしまいました。もう少し撮影したかったけれど写真にはならない場所だったので残念ながら諦めました。
祭りの期間中はライトアップをしているとの事なので近くで食事をして又、夜のあやめ園に来ました。橋の上や船着き場付近には提灯も並んでいます。船着き場の前の銅像は「潮来笠」で有名な橋幸夫の銅像が建っていてボタンに触れればあのヒット曲が流れてきます。この前で記念写真を撮る人は昼も夜も大勢いました。
明日の夜は祭りの期間中、土曜日しか行わない「嫁入り船」を撮影する予定なので照明に照らされたあやめの花は今日撮影しょうと思っていました。実際、撮影してみると照明に照らされ浮かび上がるあやめはやはり情緒もなければコントラストばかりが強く、造花のようです。少し撮影して早々に切り上げ、コンビニで一杯用の飲み物を買って市の駐車場に戻りました。市の駐車場はトイレもあり、今日の宿泊は此処にすることにしました。
今日は朝からいい天気になって嫁入り日和です。土曜日は11時からと午後2時、夜は8時からの3回、嫁入り船の披露があります。もう10時頃から見物や写真撮影者の場所取りが始まっています。船着き場から利根川に下りホテル前の船着き場で降りるとの事でした。早速、一番いい所をと思ったのが橋の上でした。ここなら見晴らしがいいし、上のアングルから川の中に嫁入り船を入れて背景もすっきり出来ると思いました。時間も過ぎて嫁入り船が段々近づいてきました。「えっ、何、顔が見えない!」丁度、前に付いている寿の提灯がお嫁さんの顔を隠して垂直に進んできます。橋の上はぎっしりの人だかりで動くこともできません。最良の撮影場所と思ったのにとんだ想定外の事が起こりました。
1回目の嫁入り船が終わると混まない内に早めの昼食を近くの食堂でとり、午後の嫁入り船を待つ事にしました。園内では午後1時からはあやめ祭り期間中でも今日だけの催しでご当地のヒットソング「潮来花嫁」を歌っている花村菊江ショウがあり、橋の上や舞台の回りの階段は大勢の人が集まっていました。午後の嫁入り船を撮るために1時過ぎから今度は場所を変えて川沿いで背景に家などが写らない所に待機しました。歌謡ショウが終わった2時半頃、嫁入り船が動き出しました。噂で聞いていたのでびっくりはしませんでしたが今回は花村菊江も同船しています。花嫁の前に座って手を大きく振っているので誰が主役かわかりません。カメラマンの中には「あんたはいらないよ〜!」と言う声も、今回も写真にはなりませんでした。
昨日の夜はあやめ園内のライトアップを見ましたがあやめ園沿いの前川も橋の上や川沿いがライトアップされていて趣があって綺麗でした。
夜の嫁入り船は照明が命です。照明は橋の上からの1灯のようで市の関係者が担当しているようでした。別の船も通っているので川の横から撮ってみても1灯では横顔の前だけ明るくて後はつぶれてしまいます。これは全体的に光が当たる橋の上がいいのかなと思い、仕方なく橋の上の照明さんのそばで撮ることにしました。その照明も照らされる範囲が狭すぎてスポットライトのように船の一部しか明るくなりません。ライトに露出を合わせると全体的な物が写らないのでマニアルの+補正露出で撮ることにしました。8時過ぎに嫁入り船が進んできますがやはり場所的に提灯に顔が隠れてしまいます。「船頭さん、船を少し横にしてくれ〜。」などと思わず出てくるカメラマンの声が聞こえてきます。船が橋の下を通ったので反対側に移り今度は上から後ろ姿、照明の当たったうなじが綺麗に浮かび上がり少し変わった写真が撮れたと思いました。只、残念なのは露出です。少し周りも写るように露出を多めにしたので照明の当たっている所は白く飛んでいます。もう少し広い範囲を照らす照明でないと夜の嫁入り船撮影は難しいと思いました。
今日も朝の内は櫨こぎ船を撮り、午前11時からの嫁入り船の撮影のために10過ぎから場所取りを始めました。昨日、午後撮影をした場所で待っていると11時近くになった頃に船着き場近くで見物している、かみさんから携帯電話がありました。「今回は反対の方に船が行くみたいだよ」と言う話しです。慌てて船着き場まで行き、係員に尋ねると「婿さんの実家が川上の方にあり今回はその実家の方に向かう」と言うことでした。さあ〜新たに撮影場所探しです。川上の方にどんどん走っていき何とか大きな橋の上から撮ることにしました。橋の上にはもうカメラマンが中央に固まっていました。昨日の撮影経験から中央でなくほとんど人の居なかった左端に撮影位置を決めて待っていると結婚祝いの笛を吹きながら付いてくる船と身内の人達が乗った船もあり盛大に進んできます。
始めはそんなに多くなかった橋の上の人達も少し前から一杯になりました。隣に来た若者が「嫁入り船は婿さんの実家のある方に行くので此処を通るんだよ」などと聞いても居ないことを言って話しかけてきます。知っていたことなので何を今更と言う感じでしたが「自分は婿さんの友達で今日、3時半からの披露宴に呼ばれて居るんだ」と言っていました。橋の上を通った婚礼姿の若者たちや川の向こうで屋台を出している若者たちにも声をかけたりと地元では顔見知りの人達が多いみたいです。嫁入り船が近づくと大きな声で「写真を撮るからこっちを向いて!」と言いながら記念写真を撮っていました。花嫁さんは普通、前を向いたままなのでこちらも便乗してパチリパチリ、おかげで自然な写真が撮れて満足しました。
土曜日、日曜日はあやめ園内外で時間を決めてあやめ踊りなどが披露され、園内でも観光を意識して絣の着物を着て、すげ傘をかぶったおばさん達が草取りなどをやっていました。
日曜だけのイベントで午後1時から3時までの間、利根川で帆曳き船の運行があります。場所取りに12時半頃から利根川縁で待機を始めました。ところが午後1時過ぎても帆曳き船が現れる様子がありません。帆曳き船を目当ての人達もどうしたのかと当惑顔です。仕方なく利根川を走る高速艇などを撮ったり乗合船を眺めたりしていました。
その内に2時も過ぎて午後の嫁入り船が下ってきます。橋の上に戻ってまずは嫁入り船の撮影です。今回は利根川沿いに居たので橋の上から撮影してから船着き場に回りました。船着き場には婿さんやその両親、親族等がみんなで出迎えをしています。その後、道路に待っていたマイクロバスに乗って帰っていきましたが話しに聞くと結婚披露宴は今月の27日だと言うことでした。このイベントの花嫁さんは本物でないのではと言うのが定番ですが実際は記念になるので申し込むカップルも多いらしく、そのままホテルで披露宴をやったり、あるいは披露宴は後日でもこのイベントに参加したいというカップルなどでほとんど本物のお嫁さんと言うことでした。その後、帆曳き船が運行するのを待っていましたが船は風待ちの待機中と言うことが分かり、結局は3時頃になっても風が少なくて出ませんでした。これで今回のあやめ祭り撮影を終わりにしました。
昨日は午後3時過ぎに撮影を終わり、その後簡保の宿「潮来」で風呂に入り食事を済ませて道の駅「潮来」に宿泊しました。今日は午前9時に道の駅が開いてから欲しかった物を買ってゆっくりと潮来を後にしました。時間もあり、近くなので佐原で降りて小江戸佐原を見物することにしました。規模的に小さいですが川沿いを挟んだ建物などは古い家が残っていて昔の水郷の面影がありました。
川の途中には一ヶ所の船着き場があって4〜5人の人達が客待ちをしています。潮来は街の中でも乗船の勧誘が凄かったけれども佐原では声をかけてきませんでした。普段の日でもあり時間も早いのでのんびりした雰囲気です。一回りして駐車場に着くと次々と車が入ってきていて此処もこれから賑やかになりそうでした。後は帰るだけで途中で昼食をとって無事に自宅に着いたのは午後3時過ぎでした。帰る途中、雨が時々降ってきましたが車の中だったので影響もなく、今回の撮影旅行は入梅にも関わらず雨はあまり降らず、かろうじて雨のあやめ写真が撮れたのは幸運だったと思います。今まで2回の漁港巡りは朝早くから起きて車も走りっぱなしでしたが今回は範囲も狭く車移動も少なく、ゆっくりした撮影旅行で時間が余るほどでした。