地元の写真クラブ、フォト司の撮影会が山梨県塩山の枯露柿の里で行われました。JR新神奈川駅に午前7時集合で横浜線終点の八王子で乗り換えて塩山に着いたのは午前9時少し前でした。
枯露柿の里の撮影は30代に一度来た経験はありますがほとんど分かりません。参加者8名が塩山駅から2台のタクシーに乗って午前9時過ぎに恵林寺に着きました。今日は天気も良く、明日からは寒くなるので最後の暖かい日になるそうです。干し柿作りも少し前から始まっていて丁度いい時期になっています。早速、恵林寺近くの農家に行き、断りながら撮影開始です。農家の奥脇には高い柿木と古い農機具置き場の小屋があって絵になっていました。
庭先には皮をむいた柿が干されていて朝日を浴びて眩しいくらいに綺麗でした。パターン的に撮ったり、影模様を撮ったり、農機具を入れて撮ったりとそれぞれ思い思いに撮影に夢中です。
農家の干し柿だけでなく周りの空き地は晩秋の色模様が一杯で赤く枯れた蔦の葉や枯れ草なども逆光に照らされて風情があります。被写体を探しながら雑草のある空き地を歩いているとズボンなどは草の実が沢山付いて後が大変です。
この農家は昔の記憶そのままに障子のある縁側に干し柿と大根や瓜のような野菜が置いてありました。今時こんなに絵になる農家もあるんだと思いながらいろいろ撮影していましたがここのご主人さんが居て「皆さんや観光客の為に昔ながらの光景を残してあるんだよ」と言っていました。お土産なども置いてあり商売的?にも昔のままの光景を残してくれているようでした。写真撮影者には本当にありがたいことと思いましたがみんなで「まだ朝で荷物になるからお土産は買えないね」と言って写真撮影だけで悪いと思いながらもこの家をお礼を言って後にしました。
この家の小さな庭先にはこじんまりとつるし柿や大根が干してあります。こちらは自分の家で食べるために作っているようです。陽の当たる部屋の中に猫が居て日向ぼっこをしていました。顔を室内に向けていたので一人が声をかけてこっちを向いた所を撮ったり、別の所では崩れ駆けた土塀に張った蔦がオレンジ色に紅葉して魅力ある被写体になっているのを撮ったりと結構、被写体には事欠きません。
バス通りの一角にマネキンのお巡りさんが立っています。速度違反などをしている運転手が一瞬はっとして速度をゆるめる効果などを狙って立てているのでしょう、どこかは忘れましたが地方にバス旅行に行ったときにもこんな光景を見たことがあります。古びた家の前に色あせたお巡りさんのマネキンもなんか田舎的で面白い光景です。
恵林寺の近辺を撮影していますが柿の皮をむいたり、吊したり、あるいは農作業などしている人達は全然見あたりません。そんな人物スナップも撮れたらと思っていましたが皆無に等しく小道を写真になる人が歩いてきたのでとっさに撮った今日初めての人物スナップショットでした。

恵林寺近くの食堂で昼食を摂った後、午後の撮影開始です。大きな銀杏の木は真っ黄色に紅葉していて見事なくらいで思わず撮りました。樹齢も長く、由緒ある銀杏の木なのかもしれません。その後、別の所で銀杏の葉と落ちている銀杏の実がある通りを歩くと実を拾う人もいないのであの銀杏の実の臭さに閉口するくらいでした。
撮影はみんなで行動していますが時々、時間を決めて自由に撮影をしながら進めています。この辺は旧家の土塀と柿があってその取り合わせが又、独特の趣がありました。斜光に照らされた土塀や柿は秋の日射しを感じられて魅力的でした。晩秋と柿、古い家など日本のふる里のイメージにぴったりです。
又、何人かで農家の庭先で撮影していると家の人が出かけるみたいで庭に出てきました。挨拶をして話しなどをしている内に「柿、食べるか?」と言って子供の頃、見慣れた竹の先が割れている長い竹竿で柿を取ってくれました。「見とれていないで写真も撮らなきゃ」などと言いながら珍しい柿取りの姿も写真に撮らせて貰い、最後にはこの場に居なかった人達の分まで催促して頂いてみんなで大笑いしました。本当に優しい枯露柿の里の人達には感謝しています。後で食べた柿は甘くて美味しく、ごちそうさまでした。
私の住んでいる所でも季節外れのツツジの花がちらほらと咲いていますがこの辺では朝顔が咲いていました。庭先などに植えている朝顔ではなく自然に生えている朝顔みたいです。晩秋の色に染まった中のピンクの小さな朝顔は格別に綺麗でした。
時間も午後3時頃になって光線も斜光になり柔らかい日差しになりました。逆光に映える吊し柿や紅葉が素晴らしく綺麗です。今が撮影時と思って被写体を探して撮影に夢中です。
「秋の日はつるべ落とし」と言うぐらい(古いですね)暗くなるのが早いので午後3時半頃には今日の撮影会を終わりにして又、タクシーを呼んで塩山駅から電車で帰りました。久しぶりに晩秋の山里を撮影して私は気持ちの良い撮影ができました。会員の人達もレクレーションを兼ねた枯露柿の里の撮影会は秋を満喫して楽しげでした。