今年の浅草三社祭は18日〜20日まで行われるので写友達と19日(土)に行くことにしていました。天気は不安定で雨も降る予報です。朝9時に横浜で待ち合わせ浅草に着いたのは10時少し過ぎでした。
先週の12日は神田祭に初めて行きました。同じように10時過ぎに着き神社の境内や回りの町場をぶらぶらしましたが私の求める下町風情や子供たちの祭りの表情などが拾えそうも無いと判断して祭りが始まる前の11時過ぎに見切りを付けて銀座に撮影場所を変更しました。それと比べるとやはり浅草は違います。浅草に着くと雨がけっこう本降りになっていました。写友二人はビニール合羽と折り畳みの傘をそれぞれ持って来ていましたが普通の長い傘を急きょ買ったりして大きな御輿が出る浅草寺前や浅草寺を抜け浅草寺裏の浅草3丁目に来ました。先ほどあれだけ降っていた雨もやんでいます。まだ午前中は静かでこれから始まる子供御輿を担ぎに嬉しそうに走っていく子供たちもいました。
12時を少し過ぎた頃、浅草寺裏の大きな通りを渡り又、浅草3丁目に来ました。今、何処の祭りでも担ぎ手が少なくなっていて祭りの好きな人達があっちの祭り、こっちの祭りと御輿を担ぎに回っているようでその人達がいなくては祭りもままならない状態のようです。その為に統一がとれないなどという弊害も出ているという話しも聞きました。外国の人達も祭りが好きで日本の人達と一緒になって祭りを楽しんでいる光景も珍しくはありません。大人達は祭りの前の一休みや御輿の準備をしたり、芸者さんの見番所の脇には芸者さんが乗ってきた幌付きのトラックも止まったりしていました。
少し歩きましたが町はまだ静かで祭りの撮影には早そうな感じなので賑やかな浅草六区などを回り、混んでくる昼食時を外し早めの食事をしました。六区街のはずれの飲み屋の前で女の人と記念撮影をして又、店に入って行くのが目に止まりました。女の人はアマレスリングの浜口京子さんでした。浜口京子さんの父でアニマル浜口さんは浅草でレスリングの道場を開いています。今日もその道場を見かけましたが場所は前と変わっていたようです。店を覗くとカウンターだけの小さな店でした。父のアニマル浜口さんもいて静かに飲んでいましたが時折「気合いだ!」というテンションで急に吠えていました。私も野次馬根性丸出しですね、そう少し見ていたということです。食事を終えて浅草寺脇を通ると浅草寺裏は大きな本御輿が何基も置いてありこれから始まる本番に備え大勢の人達が待機していました。
浅草寺裏のこの界隈は昔から料亭が多くそこに呼ばれる芸者さん達もいて見番所などもあり、祭りの日も独特な雰囲気があります。三社祭と言えば何基もの大きな御輿が宮出しだ宮入りだといって勇壮な祭りを想像しますが勇壮な御輿を撮ろうとすると場所取りや何かでとても大変です。だからと言ってそんな写真を撮っても面白くもありません。そんな気持ちのカメラマンはいつもこの町内に来て下町の祭りや子供達の姿などを自由に撮っています。店の前で祭りを楽しむ人達やこれからやって来る祭りの御輿を見ようと車椅子で道路に並んでいるディケヤーサービス所の老人達と皆さん自分達の祭りを楽しんでいます。
今日は雨が降ったりやんだりと撮影には本当に忙しい日です。午後になり、各町内の子供御輿や大人の御輿が練り始めてあっちでわっしょい、こっちでわっしょい、町は賑やかになってきました。御輿もさることながら路地を巡りながら祭りの日でなければ見られないいろいろな光景を探しながらあっちにうろうろ、こっちにうろうろと歩き回ります。古い家屋の塀を背景にしてそこを通る人々や、祭りの衣装で家の前ではしゃぐ子供達、動作や表情に気を付けてシャッターチャンスを逃さないように夢中になります。
写友、二人とはこの料亭前で時間を決めて集まりますが路地をうろうろしながら中継地点のようにここに来て又、撮影に出かけ戻って来ています。カメラマン達もいつも一番多いのがこの料亭前です。立派な料亭を背景に芸者さん達も出入りし子供達も撮れるということで定番ですがここにねばっているカメラマン達も多くいます。今日も格好の子供達はカメラマン達の餌食になったように「写真を撮らせて」と言われ、はにかみながらポーズをとっています。カメラマン達は次々変わるのできりがないのですが子供達もまんざらでもないようでいつまでも付き合っていました。記念写真的なだけでは物足りないので回りをはしゃぎながら走っている男の子を主役にして撮ったりとなかなか楽しみです。
時間は午後3時過ぎ、午後になって天気の方は安定してきて晴れています。先ほどの大きな料亭を離れ又、路地をうろうろしながらスナップ撮影をしていました。少し先を見ると料亭の前に芸者さん達を送り迎えする幌付きのトラックが止まっていて芸者さん達がトラックから降りている所でした。慌てて走って行き写真を撮りましたが間に合ったけれども少し遅かったかなと思えるタイミングでした。先ほどの大きな料亭にも同じように幌付きのトラックが止まり乗り降りします。でもカメラマンも大勢いて思うように撮れません。その点あまりカメラマンの居ない他の料亭に出入りする所にぶつかったときは思うような写真が撮ることができます。この幌付きのトラックはレンタカーで大勢の芸者さんを送迎する時だけ借りて利用しているようです。荷台はコの字形に前、両サイドに10人ほど座れるようになっていて目の前には天井から手で捕まれるように布のひもが垂れ下がっています。大分前ですが初めて見たときはびっくりしました。
5時近くになり路地によっては薄暗くなり始め、あまり道幅の広くない通りの料亭は提灯や看板が綺麗に浮かび上がってきました。この料亭も古い作りと祭りの提灯がマッチしていい時間帯です。人通りも少ないのでまずは灯りがついた玄関の提灯を右に入れたり左に入れたりして撮影していました。ちょうど時間帯がお客のやってくる頃になっていたので店の人が出てきてホースで店の前の道路に水まきを始めました。これは最高と思いながら何枚も撮りましたが人が横になっているのは初めの2枚ぐらいで後は後ろ向きになっていてもう少し粘っていれば前向きの写真も撮れるかなと思って撮影をしていました。所がシャッターチャンスは何が起こるか分からないですね、思わぬ事が起こりました。急ににわか雨が強く降ってきたのです。
当然、店の人も私も雨宿り、店の人は水をまく必要が無くなったので引っ込んでしまいました。何という間の悪さでしょう、良く望遠系でスナップ写真を撮っていると手前にわざとじゃまするように人が入ってきて撮れない等と言うことは当たり前ですが天候でこんなにタイミング良くじゃまされたのは記憶に有りませんでした。この後、写友二人と合流して今日の撮影を6時近くに終わり帰ることにしました。天候が不安定で忙しい撮影日ではありましたがそれなりに祭りの日のスナップ写真が撮れたかなあと思います。