桜も散って4月初旬も過ぎましたがなかなか春先の暖かい日射しの日が無く、肌寒い日が続いています。今日は4月1日以来の天気のいい、暖かい日になりそうです。今度は久しぶりに浅草にでも出かけようと思っていたので迷うことなく朝の10時前に家を出かけました。
11時頃に浅草に着き、浅草寺の前に来ると普段の日なので土、日ほでではありませんが大勢の人達が来ていました。雷門の前では観光客相手に人力車の車夫達が「いかがですか?」と声をかけています。珍しいぐらいですが私にも声をかけてきました。もちろん丁寧に断って混雑している仲見世通りを避けて裏通りを歩いていると包丁屋の前では外国人の観光客が興味を示してショーウインドーを眺めたり店の中に入ったりしています。
浅草はよその町では見られなくなったいろいろな珍しい店が沢山あって外国人には特に興味があるようです。
少し行くと仲見世通り脇に浅草寺幼稚園があっていつもはあまり目に付きませんが今日は大勢の人達が中にいました。どうやら入学式の日で式が終わって思い思いにくつろいだり、帰り始めている所でした。先月は京島で卒業の日にぶつかり写真を撮らせてもらったり今日は入学式の日とこの時期は春先の行事にぶつかります。子供達にも大人達にも春先は別れや新しい出会いがあり、寂しさや不安、希望などが入り乱れる大変な季節でもあると思います。子供達は屈託のない明るい笑顔でこれからの幼稚園通いを喜んでいるように見えました。
幼稚園の後は浅草寺境内に入らず伝法院通りを通りながら浅草六区に向かいました。今日は普段の日なので競馬も無く場外馬券場に来る人達の姿も見あたりません。日曜などの競馬のある日は場外馬券を求めて大勢の人達が集まり、昼から飲み屋は商売繁盛ですが今日は店も閉まっている所が多く、閑散としています。映画館や馬券場のある通りもいつもと違いあの独特な雰囲気がありません。ホームレスの男の一人が上半身裸で道に座り込んでいました。顔は赤ら顔で酒も飲んでいるようで暖かさに上着も脱いでいるという感じです。その内にお巡りさんも気が付いたようで上着を着るように話しかけていました。さすがにこれ以上写真を撮れないと思い歩き始めました。
町の中をぶらぶらしながら写真撮影を続けていたので今度は浅草寺にと思い、戻って来ました。浅草寺は今、いろんな所が改装中で大きな幕で覆われていました。最近では大きな提灯も数年前に新しいのと取り替えられています。又、この時期は修学旅行も多くグループごとに境内や町の中を物珍しそうに楽しそうに歩いている姿が見かけられます。今日は天気も良くて修学旅行にもってこいの日和になりました。前に横浜で雨の日、横浜スタジアムの一角に雨宿りをするようにしていた修学旅行生達がいました。今日の野球観戦も日程に入っていたらしく野球は中止になって見られないしこれからどうしようかと思案している感じでした。先生も困るでしょうが生徒達は今日の野球観戦も楽しみにしていたのに見られず本当にがっかりした事と思います。

遅めの昼食もとり、公園で少し休憩の一杯もして又、ぶらぶら町を歩きながら撮影を続けています。町角で老人の男が浮世絵を大きく模写していましたが完成した絵をここで売っているようです。初めて見ました。近くの飲み屋の店先では愛犬を連れて浅草にやって来てちょっと一杯の一休みのようです。愛犬をイスの上に座らせてちびりちびりホッピーみたいなのを飲んでいます。愛犬もおとなしく時折お菓子のような物をもらいながらちょこんとイスの上に座っていました。午後の光がスポットライトのように犬に当たっていてまるで舞台のようです。愛犬と老人が暖かい日射しの中でゆったりと春のひとときを過ごしている光景がフォトジックで何枚もシャッターを切りました。今日も出てきた甲斐があったと思った瞬間です。
時間は午後3時半近くになりました。浅草に来たら必ずこの時間になると大衆演劇劇場「木馬館」の所に来ます。昼の部と夜の部の入れ替え時間になるからです。一階席は正面入り口から二階席は裏の階段からお客さんが出てきます。その前に慌てるようにして役者達が裏の階段から下りてきてお客さんが出てくるのを待ってお礼の言葉で送り出します。来るたびに裏の階段や前でお客に挨拶する姿をシャッターチャンスを選びながら撮影していますがなかなかこれはと思う写真が撮れていません。今日は役者の姿があまり魅力的で無かったので裏口を中心に撮影をしていました。こんな場面もあっという間に終わってしまいます。何はともあれ浅草でこの時間に木馬館に来るという事はこれからも変わりないと思います。
木馬館前の撮影の後も浅草六区の方に行ったりして撮影をしていましたが夕方になり陽もビルの陰になって当たらなくなってきました。浅草寺の方は高い建物が少なくまだまだ陽が当たっているので光を求めて又、浅草寺に来ました。桜も終わって境内の中はツツジが少し咲き始めているようです。夕方の斜光に照らされたピンクの花と若葉色の緑が綺麗です。寒いながらも今日のような暖かい日が多くなりどんどん春らしくなり季節のうつろいが感じられる事でしょう。
斜光になってきた光は今まで当たらなかった所まで光が射し込んできました。この水場まで光が回ってきて水で手を清めたりする人達を逆光の光がまぶしいぐらいに照らしだします。特に外国人の金髪の女性などはキラキラと髪の毛が光ります。後は主役とシャッターチャンスなのですがこれがなかな難しい。たまに表れてもいい位置に来なかったり来ても手前に人が来て撮れなかったりとまず気に入った物は今までも撮れていません。気長に来るたびに撮っていればチャンスに恵まれることもあるのかなあと思いながら撮影をしています。今日も例外ではありませんでした。5時近くになって人も少し少なくなった頃、着物を着た少女が大人のまねをして柄杓で水を汲み始めました。背が届くか届かないか位なので足を伸ばしてやっとという感じです。そんな女の子の姿が可愛いらしくて何枚も撮影し何とか撮れたかなあという気持ちでした。浅草寺は5時で終わるのでこの水も止まってしまい、線香の煙もなくなります。時間もちょうどいいかなあと思い、5時半頃に今日の撮影を終わりにして帰ることにしました。