今年もあと2週間近くで終わるということが実感できませんが歳末恒例の浅草羽子板市、今年も17日〜19日まで行われるので出かけることにしました。17日は日曜で込むと思い18日の午後1時頃に家を出ました。今日も天気が良くてこの時期にしてはそう寒くもありません。
2時過ぎに浅草に着き、仲見世通りに来ましたが込んではいてもいつもぐらいで羽子板市がある割にはそう込んでいないと言う印象でした。それでも仲見世通りの上を見ると羽子板市の看板や来年の干支の猪、お正月飾りの看板などが吊してあって歳末の雰囲気が伝わってきます。
今日は月曜日ということもあるとは思うのですが前に2度ほど来たときの印象と較べると人出は少なくなっているな〜といった感じがします。毎年恒例の変わり羽子板、ありました。新庄、松坂、ハンカチ王子と野球の選手が独占状態、琴欧州に変なおじさん。気を付けて見ていなかったので荒川静香のイナバウワーはあったのでしょうか。ハンカチ王子の下が売れたのでしょう、空いています。もしかしてここにイナバウワーがあったのだろうか?後で思ったのですがお店の人に聞けば良かったな〜。
羽子板市のお店に売っている羽子板の表情はみんなそれぞれ違って特徴があります。お店によって仕入れ先が違うので作者も違い、それがお店の表情の違いになっているのでしょう、そんな目でお店を見比べると興味が尽きませんでした。2件ほど何も書いていない羽子板に自分で絵を描くことが出来るお店がありました。子供たちが思い思いの絵を描いています。値段は1枚、500円でした。
何回か羽子板市のお店を回りましたがなかなかいい主役やシャッターチャンスもありません。暗くなってからに期待して少し浅草の町をぶらぶらする事にしました。時間を見ると3時40分、「あっ、そうだ木馬館の昼の部が終わってお客や役者が表に出てくる時間だ」と思い、急いで木馬館に行きましたがやはり少し遅かったようです。昼の部のお客はほとんど居なくなってまだ役者が残っているという状態です。木馬館も終わり六区通りに行くとやはり大衆演劇場の大勝館がありますがこちらも昼の部のお客も居なくなって残っているファンが記念写真を撮っていました。この通りは土日で競馬のある日は場外馬券場があって更に人も多く、独特な雰囲気がありますが今日は月曜なので人も多くありません。
木馬館前
大勝館前
道を挟んで隣にある浅草演芸ホールでは夜の部開演を待ってまだ4時前ですが10人以上のお客さんが並んでいます。昼の部主任は柳亭市馬で夜の部主任は林家正蔵でした。こぶ平から正蔵に襲名した一昨年は浅草で石原軍団と共に盛大な襲名披露が行われました。石原裕次郎と父の林家三平が親しかった頃からの付き合いで石原軍団の全面協力が得られたと聞きました。アドリブやトーク番組では頼りなさそうでいつも突っ込まれたりで印象的にはまだかな〜とのイメージでしたが古典落語は立派な物らしく今では押しも押されもしない落語家になっているようです。灯りが目立ってきた4時45分頃、夜の部の入場が始まりお客さん達が演芸ホールに入っていきました。
5時頃になり日も暮れて夜の町に変わってきました。羽子板市のある浅草寺に戻る途中、浅草会館に近い五差路の角にあった古いそば屋が取り壊されて空き地になりブルドーザが止まっていました。この店も老舗で外から見ても店作りが風情があって初めの頃、写真の背景にしていました。新しく立て直すのでしょうが又、少し風情が無くなってくるのだろうなと思うと寂しい感じです。まさか潰れたわけではないだろうか?等とふと頭をかすめたりもしました。
浅草寺の羽子板市も電灯の明かりを浴びてなかなかいい雰囲気に変わっています。主役とシャッターチャンスを探してうろうろ、うろうろ、なかなか見あたりません。羽子板市にはだるまや凧なども売っていて一軒の凧屋の主人が凧に囲まれちょっと気になる絵柄です。色鮮やかな凧が電気に照らしだされその真ん中に座った主人はにこにことお客に話しかけ凧を売っていました。「写真を撮らせてください」と言うと「飲んでいて顔が赤いからいやだよ」と言っていましたが「それが又、良いんですよ」と言いながら何枚か撮らせてもらいました。ほろ酔い機嫌と赤ら顔、にこにこ笑顔で一枚いだだき、「有り難うございました。」
その後もいろいろと被写体探し、お店の人で絵になる女性が二人居て女性を絡めたシャッターチャンスを撮りたいと思い2軒の店を行ったり来たり。女性だけを撮ってもやはりピンときません。その内に羽子板を買った4人連れのお客さんがお店の半纏を着て女性を入れて記念写真を撮らせてもらい始めました。まず女性二人、その写真も撮ったのですがお店の店員のようにも見えて面白くありません。今度は男性二人、こちらの方はネクタイもしていてサラリーマン風で半纏を着ると違和感があって面白く「半纏借りて記念写真」の出来上がりでした。
戻ってきた羽子板市の人出も少し少なくなっていてこれというシャッターチャンスも見あたりません。羽子板市の外れの方のお店の後ろにライトアップされた五重塔が見えました。ちよっと絵になると思い、お客の配置を考えてとりあえず2.3枚撮った8時過ぎに今日の撮影を終わる事にしました。先ほど8時前に飲食店と思える屋台を閉まっているおばさんに隣の屋台のおばさんが「もう閉まっちゃうの?」と話しかけていて、閉まう屋台のおばさんが「こんな、ご時世だものね」と言うと「そうだよね、ご時世かも知れないねえ〜、私もいろいろ奥さんに話したい事があるので明日、話そうよ」と言う会話が聞こえてきました。伝統的な羽子板市なども時代と共に下火になり商売も段々成り立たなくなってきているように思います。時代の流れは進歩もあり衰退もありで何とも言いようの無い寂しさも感じました。
又、羽子板市を離れて浅草の町を一回り、なにしろ浅草は夜が早いのです。一般的に商店は6時を過ぎるとどんどん店が閉まっていきます。一休みをしながら町を回りもう一度羽子板市に戻ってきた7時半頃には仲見世商店街も全部店が閉まっていて羽子板市のお客さんも帰る人が多くなっていました。
浅草は外人の観光客も多く、今日も伝統的な日本の羽子板市を楽しんで帰るような家族に出会いました。